第2章 後編
「久しぶりだな、おまえが電話に出るのは。元気だったか?」
この日、ローは珍しくコラソンと話していた。
コラソンはローが入る前から海軍に所属していた。
ローが入った当初は中佐だったコラソンも、今では小将まで階級を上げている。
と言っても今では立場の変わった二人だが、コラソンは昔から何かとローのことを気にかけてくれた。
だから珍しくローが立場等関係なく、気を許している相手なのかもしれない。
「別に変わりはない。ここ最近忙しかったからな」
電伝虫にコラソンから電話がかかってくることは度々あった。
だが、ユーリのこともあり、その後の後処理等に追われていたローは中々電話にでなかった。
ユーリが処刑されたあの日、コラソンは別の任務に出掛けていた。
そして帰ってきて話を聞いたコラソンは、何かとローを心配しては会いに行ったり電話を掛けたりしていたのだ。
「ははっ、相変わらず真面目だなおまえは。少しは息抜きでもしたらどうだ?」
「…別にずっとここにいるわけじゃねぇ。最近任務だが、その後少し休んできた」
「お、珍しいじゃないか。例のあの子と一緒にか?」
コラソンの言葉にローは一瞬返答に迷った。
ローがロボットを引きつれているのは、本部には知れ渡っていることだろう。
それをコラソンがどう思ってるのか、分からない。
「おいおい別に変な意味で言ってるわけじゃねぇぞ?おまえが少しでも気を休めてくれれば、それでいいんだ」
ローが沈黙したので何かを察したのか、コラソンがそう付け加えた。
昔から、彼がローを心配する性格は変わらない。
まるで親のように口煩く言ってくる時もあるが、それを煩わしいとは思ったことはなかった。
ローは苦笑すると、少しだけロボットとのやり取りを話した。
と言ってもほとんど話すようなことはないのだが。