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幻影の花唄【ONE PIECE 】

第2章 後編





「……っ!」


息が詰まる感覚に一気に意識が浮上する。
ローが目を開くと、こちらを見つめているユーリと目が合った。

夢と現実がごちゃまぜになり、ローの頭は混乱する。

ユーリは死んだ、今ここにいるはずがない。
こいつは、ロボットだ。

ローはゆっくりと息を吐き出すと、そう自分に言い聞かせた。

そして暫くお互い無言で見つめ合っていたが、ローがある違和感に気づいた。

「何をしている」

ソファーで寝ていたローの頭に感じた違和感。
何時の間にか、彼の頭はユーリの膝の上に乗せられていた。

「珍しくうなされていましたので、体制を変えてみました」

そうしたら、落ち着いたようでしたので、ずっとこのままでいました。

淡々と伝えてくるロボットにローはため息吐くと、ゆっくりと起きあがった。

いくら気配がないからといっても、ここまで気づかないとは余程疲れていたのだろうか。

ソファーに座り直し、顔に手を当てて何かを考え込んでいるロー。
そんな彼の姿を、彼女はじっと見つめていた。

任務から帰ってきて一週間、二人の関係は相変わらず冷めたものだった。
会話らしい会話はほとんどない。

それでも彼女はローの傍にいる。

いったい彼女は何時帰るのか。
そもそも契約破棄以外で、帰る条件はなんなのか。

ここ最近、ローはずっとそのことを考えていた。

ケアロボットというくらいだから、対象者のケアが完了しないと彼女は帰れないのだろう。

ロー自身でさえよく分かっていないその部分を、いったいどうやってこのロボットがケア出来るというのか。

ユーリを殺してしまったことは、確かに引きづっている。
だが、だからと言ってどうやって忘れればいい?

そもそも本当におれは、そのことを気にしているのか?

他に何かあるのか?

考えれば考えるほど分からなくなるその問いに、ローは益々頭を抱えた。

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