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幻影の花唄【ONE PIECE 】

第2章 後編



海楼石を付けられたユーリは、そのまま引きづられるようにある部屋に連れていかれた。

そして集まってくる、恐らく立場の偉い人達。
その中には血相を変えて駆けつけてきたローの姿もあった。

処刑台の上に立たされたユーリ。

ユーリの背後には、広大な青い海が広がっていた。

「…違う、私じゃない…」

能力を発動させられ、インペルダウンは壊滅的な状況となった。
多くの囚人たちがその隙に船を乗っ取り海へ逃亡。
一番恐れていたエースも行方が分からない。

噂では白ひげが近づいているとのことだったので、無事に助けられたのだろう。
その一連の出来事は、海軍だけでなく世界政府の耳にも入っている。
最早、許されることでなないだろう。

そしてその結果、ユーリが主犯の疑いをかけられ捕らわれた。
彼女が発動した力が決定打になり、多くの囚人を逃がしてしまったのだ。

ローは信じられないといった表情でこちらを見ていた。
エースを逃がすならともかく、インペルダウンを破壊した上で囚人たちも逃がした。

そんな彼女の真意が分からないのだろう。
どんなに説明しても、信じてもらえるはずもない。

あの瞬間、時を止めたと言っても全ての海兵ではない。
そのため、ユーリが力を使っているのを目撃した情報は多く寄せられた。

だがエースを逃がしたのは認めるが、それ以外の濡れ衣を着せられるのは納得がいかなかった。

「ロー、これはお前の責任でもある。お前が始末しろ」

絶望の表情を浮かべているユーリの耳に、更に残酷な言葉が聞こえてきた。


咄嗟に2人の視線が交わる。

ローの表情は、何を考えているか分からなかった。


ユーリを信じようとしてくれているのか、それとも…


お互いの間に沈黙が流れる。


それは数秒なのか数分なのか、それとももっとあるのか分からない。

ただ、永遠とも呼べる時がその場を支配していた。























「……ユーリ」


彼女から視線を逸らし、ローはゆっくりと口を開いた。












そこから飛び降りろ。










静かに伝えられたその言葉。












海楼石を付けた彼女は、海へと落ちていった。








海王類がいる、その海へと。






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