第2章 後編
ユーリは暴れている囚人と海賊、そして応戦している海兵の目をかいくぐり、どうしたものかと悩んでいた。
先ほどやることあると言っていたが、それはただの口実だ。
元々別行動取るつもりだったはユーリは、脱出経路を考えていた。
特殊な門が開かれる時間は知っているが、今の状況だとどうなっているか分からない。それに脱出するにも船が必要だ。
このままウロウロしてローに見つかっても大問題だし。
「あれ、もしかしてあんたは…」
ユーリが物陰に潜んで頭を悩ませていると、突然頭上から声が振ってきた。
驚いて顔を上げると、そこには見たことのない囚人がいた。
だが、向こうはユーリのことを知っているのか、人の悪い笑みを浮かべると突然声を張り上げた。
「おい!いい奴見つけたぞ!!こいつに囮になって貰えばここから脱出できるかもしれねぇ!!」
男のその言葉に集まってくる囚人達。
ユーリは驚いて能力を使って逃げようとするが、それは叶わなかった。
何時の間にか発動されていた悪魔の実の能力。
「さぁ、力尽きるまで破壊し尽くせ。インペルダウンなんて場所、消えてしまえばいい!」
男の言葉に、ユーリの手が勝手に動く。
ユーリの意思に反して発動された能力。
どうやらこの男は、相手の能力を操る力があるようだ。
「…や…め…て」
ユーリは必死に止めようとするが無駄だった。
刀を使わずに発動された禁忌の力。
その力はインペルダウン全てを飲み込んでいく。
視界の端に逃げていく囚人たちが見える。
時が止まった海兵達。
闇に飲み込まれていく建物。
ロー、ごめんなさい。
ユーリの瞳から、一筋の涙が流れ落ちた。
気が付けば彼女は、多くの海兵に取り押さえられていた。