第2章 後編
「どういうつもりだ」
ローはユーリがいる檻を叩きつけると、静かに彼女を睨みつけた。
あの後、彼女が指定された場所に来ることはなかった。
まさか途中で捕まったのかと心配して来てみれば、彼女は変わらず檻の中にいた。
ずっと待ち続けていたローは、彼女のその選択に苛立ちを抑えれなかった。
「これが私の答えです。もう私のことは構わないでください」
彼女はそれだけ言うと、鍵をローに投げ渡し、背を向けた。
その拒絶とも思われる態度に、ローの舌打ちが響き渡る。
己の立場も全て殴り捨てて彼女を助けようとした思い。
ユーリさえ生きてくれれば、それだけでいいと思っていた。
彼女にとっては、ただ押し付けられた迷惑な思いかもしれない。
だが、自ら死を選ぼうとする彼女のその選択は、気に入らなかった。
「あぁ、そうかよ。もう勝手にしろ」
ローは身を翻すと、その場を去っていった。
折角生かしてやろうとしたのに、彼女はそれを断った。
その事実は、ローの心を凄まじく荒れさせた。
乱暴に閉められる独房の扉。
最後まで、2人が視線を交えることはなかった。