第1章 前編
ローとユーリはその後も、ペアを組み任務へ向かうことが多くなった。
二人の活躍は凄まじいもので、闇に葬った海賊は最早数え切れないほどまで来ていた。
それもこれも、ユーリが持つ力の影響が大きい。
だが、評価されるのはローだけである。
ローの階級は瞬く間に、中将まで駆け上がっていった。
ユーリは相変わらず冷たい檻の中で今日も過ごしている。
その事実を、ローは複雑な気持ちで受け止めていた。
彼の中で、ユーリに対する評価は変わりつつあった。
たまに反抗的だが、基本的にはローに従う彼女。
決して恵まれた環境ではないのに、彼女の笑顔は消えなかった。
任務の途中、何時もローに対して色々な話題を提供しては、楽しそうにしてる。
そんな彼女に惹かれてると気づくのに、そう時間はかからなかった。
気がつけば何時も彼女を探している。
任務がない時期でも、頻繁にインペルダウンに足を運んでは彼女に会いに行く。
以前は週に1回来ればいいほうだが、今は本部よりもここにいる時間が多い気がする。
ローの階級が上がる度に、彼女は素直にお祝いの言葉を述べていた。
彼女は、ローが彼女の自由を奪っている本人だと、分かっているのだろうか。
このままここにいれば、いずれ彼女は処刑される。
ローが本気を出せば、ユーリを此処から逃すこともできる。
だが彼は、それを実行しない。
いや、出来ないのだろう。
その事実に、ここ最近ローは頭を悩ませていた。
彼女に惹かれているのは認めたが、まだ彼は心の整理ができていない。
また中将という立場が、彼を深い闇へと迷わせていた。
ローはユーリをどうしたいのか。
考えても分からないその答えを、彼はここ最近ずっと探していた。