第1章 前編
こんな暗い場所で、朝も昼も、今何時かもわからない。
ローが去ってどれくらい時間が経ったのか。
5分なのか1時間なのか半日なのか。
ユーリの声はとっくに枯れていた。のたうちまわるほどの力も残っていない。
固い石で出来たその床は、ユーリの体液でぐちゃぐちゃだった。
意識を失っては強すぎる刺激で目覚める。
そんなこと繰り返してどれくらい経っただろうか。
漸くローが現れた。
「随分楽しんでるじゃねぇか?」
ユーリの悲惨な姿を見て彼は満足気に微笑むと、ゆっくりと屈み込み彼女に視線を合わせた。
髪を掴み上げ向けられた彼女の瞳には、すでに光はなかった。
あるのは暗い闇で、ローさえも写してなかった。
「た……すけ…て」
じっとその瞳を覗き込んでると、僅かにローを認識したのか、彼女が彼に手を伸ばしてきた。
「おねが……い」
コートに縋るように這わされた手。
初めて見せた彼女の縋る様は、ローに歪んだ喜びを与えた。
「あぁ、いいぜ。お望み通りくれてやるよ」
ローは彼女の手を掴むとそのまま冷たい地面に縫い付けた。
「はっ…あぁ…!」
そしてバイブを引き抜き、濡れそぼった蜜壺に猛り切った熱い先端を当てると、一気に貫いた。
途端に枯れた彼女の声が上がる。
激しく腰を打ち付けると、されるがままに乱れるユーリ。
ぐちゃぐちゃのそこは、ユーリだけでなく、ローさえも余裕を奪われそうだった。
「っは、お前は誰のものだ?」
ローは湧き上がる熱情に耐えて動きを止めると、彼女の顎を掴みその視線を合わせた。
「……ぁ」
交わった彼女の瞳には理性など、何もなかった。
あるのは、動きを止められたことへの不満と、欲情のみである。
「大佐の…ものです」
熱で浮かされた瞳で彼女はぼんやりと伝える。
「俺の名を言え」
だが、ローはお気に召さなかったのか、まだ動いてくれる気配はなかった。
彼女の瞳から、涙が一筋だけ流れていった。