第3章 宝石の国
ルチル「それでは、軽く叩いて見ますね、砕けるでしょうけど。」
コツン
ルチル「おや…?三半ならこれで割れるはず…やはり違う鉱石が含まれてますね。生まれた時のこと、覚えてますか?」
「…高いところからゆっくり落ちていって、大きな貝殻が見えました。」
ルチル「ふむ…ではもう少し強く叩いてみましょう」
カツン! ピキキッ
ルチル「…欠けましたね、少し破片を見せてください」
欠けるのは初めてだ。不思議な感覚。
ぼーっとしているとルチルがやってきた。
ルチル「主成分はパールですが、クォーツが含まれてますね。あなたが生まれた貝はクリスタルとパールを摂取していたのかもしれません。硬度を足して割ると6程度というところでしょうか。」
ルチル「靭性もクォーツのお陰で割れにくくなっています。戦闘にも参加できるでしょうから、仕事の幅が増えましたね。今フォスはアメシストと組んでいます。貴方もそのあと組んで剣など戦い方を学んではどうでしょう」
「…よかった。弱いと役に立てないし迷惑かけるかなって思ったけど、すくなくとも迷惑はかけなくてすみそうです。」
ルチル「…そうですか、しかし、欠けたなくなった部分の記憶は無くなります。代わりの物をつけるか自分に合った素材を見つけるかしかありません。くれぐれも気をつけてくださいね」
「はい…きっと故郷にあるはずなので、戻ったときできるだけもって帰ってきます」
ルチル「それは助かります。ぜひお願いします。それでは、治しますね」
そう言うとルチルは粘ついたものをカケラに塗り僕の欠けた部分にはめた。
カチリ、とはまった瞬間ゾクゾクビリビリにも似た感覚が身体を走り、思わず「うぁっ」と声を上げてしまった。
ルチル「はめる方が辛いと言う人も多いです。何事も慣れですよ。」
「そうですか…あまり欠けたくはないですね。欠けないように気をつけます。」
ルチル「まぁ、硬度6ほどあればそう割れることはないでしょう。丁度いい、検査結果をもって先生にも報告してください。」
「わかりました」
ルチル「もうすぐ朝礼も始まりますから、先生もいらっしゃるかと」
「ありがとうございます。」
こうして自分の幅が大きく広がったのを不思議に感じながらも、役に立てるかも、と希望を抱くことができた。
今から、先生に報告だ。