第2章 こらからもよろしく■す。
屋上の戸を閉めます。墨野君の驚き戸惑う顔を思い出すと自然に笑っていました。でもすぐに暗い気持ちが心を占めます。彼は苦しんでいます。私といる彼はとても苦しそうです。彼は悪夢に魘され目覚めても現実に魘されている。
出来るだけ彼の前では明るく振る舞うようにしてます。出来るだけ彼が苦しみを忘れられるように。でも意味がないみたいです。私の存在そのものが、悪い、のでしょうか?陰鬱な気持ちで階段を下りていきます。
(さん、ですか)
教室に着く寸前、女子生徒に呼び止められました。隣のクラスの美人で噂の人でした。儚げに悲しげに加護欲を引き立てる雰囲気で彼女は私に助けを求めました。ただ、わかりません。
「何故、私に?」
(貴女なら助けてくれるって、あの人が、アレが)
カタカタと彼女は震えます。見てはいけないものを見たかのように。顔に色を無くし、強く自身を抱き締めてなんとか己を保っている。そして<あの人>というワード。私の心は決まりました。
墨野君
心は決まった筈なのに、ふと彼を思い浮かべてしまいました。ダメです。私が助けを求めたら彼は助けてくれるでしょう。でもそれでは彼が苦しみ続けてしまう。
「いきましょうか」
(え?)
「授業どころでは無いでしょう?」
本鈴が鳴る前に彼が私に気付く前に、