第2章 こらからもよろしく■す。
さっきの出来事を無くそうか迷う。同級生に、あいつにあんな姿を晒したのは地味に恥ずかしい。
「…いや」
確率的確定。これはこのままにしよう。恥ずかしくはあったが別段、悪い気分じゃなかったから。
「次、体育か」
あいつが立ち去った屋上のドアを見る。サボるなと言われたが従う義理はないし。今日は校庭での授業だろうから屋上から監視すればいい。本鈴が鳴る。どっちにしろ間に合わないだろ。
欠伸を噛み締める。
気が緩んだせいか眠気が襲った。そう言えばあいつの事に気を配りすぎて最近、よく眠れていない。いざあいつが死ぬような出来事が起きれば騒がしくなるだろうしその時に俺が助ければ良い。いつもみたいに。更に眠気が強まる。だから少しだけ、少し。
墨野君。あいつが笑っている。そんな夢を見た気がした。
(、!)
(寝住ったら!)
姦しい声で意識が浮上する。空は茜色に染まって校庭には疎らに帰る生徒が見える。俺は結構、熟睡してらしいが久々に気分よく眠れていたのに喧しい声で色々と気分が台無しになった。発信源はあいつの隣の席にいる奴だった。あいつじゃないのか。俺を起こした同級生は俺の心境なんてお構いなしに続ける。
(やっと起きた!あのさ!あんたさん知らない?)
「?、?誰?」
(はああ!?誰って、信じられない。いつも一緒に居るでしょ!?…もう、なんだっていいわ。さん知らない?鞄はあるんだけど姿が見えないの)
何を言っているか一瞬、理解できなかった。
「姿が見えない?何時から?」
(午後から見てない。あんたなら知ってると思ったけど知らないなら、ってちょっと!)
午後から、俺と別れた直後に居なくなった?酷く嫌な予感がして俺は走り出していた。
廊下、教室、乗降口、校庭、正門、裏門、
走って、走って、走って、走って、走った。
居ない、見つからない、見当たらない、姿がない。
「あいつに連絡、」
スマホで連絡しようにもあいつの番号知らない事に今さら気づいた。悪夢が蘇る。あいつは死にやすい。もしかしたらもう、心臓が煩い。黙れ、収まれ、まだわからないだろ。
何の為のねずみさん『ハンドレッド・クリック』だよ。