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それでも明日は来ると信じています【十二大戦】

第2章 こらからもよろしく■す。


駅のホームで意識を失って車線に落ちた見ず知らずの他人を助けるために車線に入って落ちた奴の代わりに電車に撥ね飛ばされて死んだ。建設途中のビルから鉄骨が落ちて当たりそうになった奴を助けるために代わりに潰されて死んだ。火災が起きて置き去りにされた奴を助けるために入って代わりに焼け死んだ。川で溺れている奴を助けるために川に入って代わりに溺れ死んだ。包丁を持ったコンビニ強盗から人質を助けるために代わりに腹を刺されて死んだ…

「マジでありえねぇ」

あの名前も知りたくない同級生は数字にするのも億劫になるくらい死にまくってる。これが頭を抱えずにいられるかよ!呪われてんじゃねぇ?馬鹿じゃねぇ?人助ける前に自分を助けろよ。

それを助ける俺はもっと馬鹿じゃねぇの?自己嫌悪で吐きそうなんだけど。

「墨野君、頭抱えてどうかしましか?」
「…」
「そんなに恨めしそうに見られましても」

昼休みにこいつと飯食うのが定番になりつつあって嫌気がさす。誰のせいだと思ってんだよ。言っても意味ねぇけどさ。俺はこいつから目が離せない。勿論、恋愛的な意味とかそんなんじゃなくて、目を離したらこいつは勝手に誰かを助けて死んでるからだ。

もしかして俺ってこの先、ずっとこいつの面倒見なきゃいけない流れなわけ?冗談じゃない。そんな義理なんて無いしいっそ見捨てて

「元気が無いそんな墨野君に、はい!駅前のパン屋さん新商品のチーズピザパンを贈呈しましょう!十種類のチーズのハーモニー!素晴らしい一品ですよ!」

どこまでも平和ボケした朗らな笑みだった。

このお人好し馬鹿はどこにでもいる特別でもなんでもない一般人だ。でも良い奴なんだよな。相手が助かったの見て心底、ホッとした顔で死んでいくんだよ。多分、俺を助けたときも同じ顔だったんだろうなこいつ。

「貰う」

今の所、ねずみさん『ハンドレッド・クリック』を酷使しなくても簡単に助けられる。たがら焦る必要なんて、ないよな?




「お前がどうしようもない屑だったら良かったのに」
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