第2章 こらからもよろしく■す。
「おい!」
「…え?」
一瞬、呆けてしまいました。墨野君は追ってこないと思っていました。何故なら彼は私を鬱陶しがっていたからです。だから屋上の出入り口で険しい顔で呼び止める墨野君に、呆けずにはいられないのです。
「どうかしましたか?」
「…いや、一緒に戻る」
難しい顔で墨野君は私の隣に立ち一緒に階段を降りていきます。私達の教室がある階に差し掛かると廊下の向こうから荷物を抱えた女子生徒がこちらに来ました。前が見えないくらい腕に一杯機材を抱えて危なげにヨロヨロと。そして、階段の前に来てその女子生徒が大きく傾きました。
「あ!」
倒れる!このままでは彼女は階段から落ちてしまいます。咄嗟でした。彼女の体を支えて
「あっ」
私の体が宙に
「こんの馬鹿が!」
浮く前に墨野君が腕を掴んでくれました。
あれ?
またです。デジャヴです。前にもこんなことがあったような?
(あ、ありがとう!)
「いえ、貴方が無事でなりよりです」
女子生徒を手を降って見送りました。振り向くと墨野君は物凄く苦虫を噛み潰したような顔をしていました。戸惑います。彼は怒っている?
「あんた、馬鹿なの?」
「、え?」
「人助けして、ああなるとかマジダセェ」
彼は不機嫌に呟くと先に教室に行ってしまいました。彼といると何度、呆けても足りません。彼は一体、何に怒っているのでしょうか?
でも、
「また、助けて貰ってしまったような」
不思議な感覚に陥りました。