第3章 ようこそこれで■■が■ないね。
鏡に映る私の顔は死人よりも酷い顔だと言わざる終えません。目覚めてから暫く、トイレから出られませんでした。昨日の内容物を出しきっても体にまとわりつくあの不快感が抜けません。情けないです。これが初めてではないというのに。
久々では、あるんですが
ここ数ヵ月、死戻り『リトライ』は起こりませんでした。奇跡的な日数です。いつもなら大体、二日に一回くらいは死ぬんですが。
墨野君と過ごすようになってからでしょうか。こんな平和で心地よい日常を送れるのは。時計を見ます。今から準備して出ても墨野君が乗る電車には乗れないでしょう。いつも彼は決まった時間、時刻、車両の電車に乗っていて彼に合わせるのが実は密かな楽しみでした。気持ち悪がられたらショックで立ち直れなくなるかもしないので言えませんけれど。
それに会えないのは残念ですがこんな酷い顔、墨野君に見られたくありません。
スマホを手に取ります。
「もしもし、先生ですか?です。今日は」
本当なら彼女に話を聞くためにも赴くべきですが、今日は学校は休んで違う方向で情報収集をしようと思います。少しでも早く自身の死の解明と事件の解決を目指さなければいけませんが今回は久々の試練ですのでリハビリが必要です。
「、またですか」
電話を済ませるとスマホの電源が落ちてしまいました。最近、バッテリーの消耗が激しくて。もう、買い換え時でしょうか。スマホをテーブルの上に置いて私は出掛ける準備を整えます。最中、残念な気持ちが過りました。
死戻り『リトライ』現象が起こってしまったら一日の出来事が無かったことになります。彼との屋上でのやり取りが築いた想い出が一つ消えてしてしまったのが残念で。
「うーん、でも膝枕の件は無くなって良かったの、かも?」
あれ、何気に恥ずかしかったんですよね。それともしかしたらあの行動は彼にとって不快だったかもしれませんし。良かったと思いましょう。
「いってきます」
準備が整い誰もいない家に挨拶をします。
向かう場所は、