第2章 賢者の石
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テスト期間、テストが無い俺も鴉と共に凄く忙がしかった。
あのジジイ前日になって
『テストの間は暇じゃろうからカンニング防止に見回りでもしてくれんかのう?』
とか言い出して思わず殴りそうになった俺は悪くない!
全学年、全教科手分けして筆記のテスト時は見回った。
今時カンニングする奴居ねえだろと思ってたけど
まー、結構ベタな事をするの居るのね!
俺そう言うのと無縁だったから、容赦なくハリセンでシバいた。
逆にハリセンが珍しくて注目集めたけど!
「くっそあの髭燃やしてやろうか」
『まあまあ、主。抑えて』
「物騒な事を言うな!」
全教科の筆記試験の見回りが終わったところで
セブの部屋でぶちぶち言いながら
セブがテストの採点をしてる間は、鴉と俺が其れを手伝い忙しなく動いてた。
リィン
俺の部屋の入り口に仕掛けた。来訪者を告げる鈴の音が脳内に響く
「セブ、俺の部屋に客みたいだから見てくる」
「ああ、行ってこい」
『あ、主』
「鴉悪いけど手伝ってやって、すぐ戻るから」
早足でセブの寝室と俺の部屋を繋ぐドアをくぐって扉へと向かう。
その時俺はすっかり忘れてた。
『失礼するよ、昭久君。向かえに来た』
クィレルが俺を拐いに来るなんて全然頭になくて
隙を突かれたと思ったら既に俺の意識は途切れていた。
「・・・昭久?」
『?どうしました』
妙に静かになった部屋の中で名を呼んだセブルスは違和感を感じ
寝室から昭久の部屋に入り部屋の中を見て
『主?・・・あ、昭久様!?』
「昭久!」
すぐ戻る、そう言っていた言葉の主が、忽然と消え失せた。