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妖狐の灯火

第2章 賢者の石


13

朝起きて、庭から見える光景にぼーっとした頭が現実逃避を始めた

『昭久起きてるか?この…何やっている』
『ヤダ、雪降ってる!起きたくない!寒いっ』
『はぁ~鴉、部屋を暖めてやれ』
『はい』

布団はこんもりと、まるで饅頭の様に膨らみ
ヤダヤダと昭久が駄々を捏ねる

『お前は毎年こうだな…そんなに冬が嫌いか?』

セブルスの呆れた声に反応して、饅頭の様に膨らんだ布団の隙間からボスっと顔が生えた。

『こっちの冬は日本じゃ考えれない位寒いんだよ!日本の冬なら俺は大丈夫』

ヤダヤダと文句を言って毛布に包まってたら鴉が笑って

『主、お部屋が温まりましたよ』

布団饅頭をぽすぽすと叩いて、ひょこっと出て来た昭久に半泣きで感謝された。

狩衣の上に羽織を羽織って。玄関で部屋から出たいけど出たくないと葛藤してる昭久に
セブルスはイラッとして後ろから戸を開けて外に蹴飛ばした。

『殺す気かセブルス!!』
『貴様がさっさと動かないからだろう!』
『だからって積もった雪の中にも放り込むな!!』

ぎゃいぎゃいと毎年の恒例の様に言い合いをする2人が教員席に座り

教師と、生徒の席からくすくすと笑い声が聞こえてくる。

『昭久、今年もまたですか?』
『ミネルバ聞いて!こいつ無理矢理部屋から追い出したと思ったら新雪の中にも突っ込みやがった!!』
『ほっほっほ、2人とも仲が良い証拠じゃわい』

結局セブルスと一緒になってアルバスに撫でられて。俺の怒りはスルーされてしまった!

『アナタなんて嫌いよ!別れましょう』
『そうやって直ぐに頭に来るのを何とかしようと思わないのか!』
『…そうね、私も言い過ぎたわ。実家に帰らせて頂きます』
『お前さん達は恋人の言い合いをしてたんじゃなかったのう』
『あ、実家に帰ったら普通の夫婦だったわ』
『お前は馬鹿か』

言い合いをしてる内に身体が温まったのかケラケラと笑う昭久に
疲れた様にセブルスが項垂れる。

『お前と話してると本当に疲れる』
『やあねダーリン、俺は昔からそうだろう?』
『そうですな、寒くなるとキレ易くなるなら防寒魔法をかければ良いのでは?ハニー』
『あ』
『素で忘れてたな?』
『貴方達そろそろじゃれるのをお止めなさい、生徒が来ますよ』

言われて気付いた昭久は早速魔法を掛け
会話の内容を全て聞いていた生徒の腹筋は崩壊していた様だった。
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