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妖狐の灯火

第2章 賢者の石


11

『頬の傷程度、大した事ないのに』
『人?一倍心配する鴉が居るだろう』
『主、申し訳ありません、私が着いて居ながら・・・』
『あー、把握』

今にも滝の様な涙を流しそうな鴉を宥めて。大人しく傷薬を塗って貰うと
やっぱり魔法界の薬だよね、あっという間に傷が消えた。

『おーすごい』
『傷が思ったよりも浅かったからな』
『化粧水要らずでお肌がつやつや~』
『どこの化粧品の宣伝だ』

こういうネタでツッコミ入れてくれるのこの魔法界でセブルスしか居ねえんだよなー
流石日本に住んで11年。ネタが分かる男!

『お前のネタに付き合ってたら疲れる』
『とか言いつつ、いっつもノってくるでしょ』
『構ってやらんと拗ねるわんころが居ますからなぁ?』
『どこに行ったら目の紅いわんころが居るんだろうねえ?』

ちょっと喧嘩腰になって、言い合いしていたら

『・・・お二人とも?』

鴉の地を這うような声で2人でばっと振り向いたら良い笑顔で。

『運動し足りないなら私がご相手致しましょう?』

う、うわーお・・・笑顔だけど目がマジだ。
こういう時っていつも

『『申し訳ありませんでした』』
『宜しい』

2人で瞬時に頭を下げたら、お許しが出ました。
本当、小さい頃から何やっても鴉には勝てましぇん・・・

よく俺に仕えてるよね。天狗は高貴な存在だとばっかり思ってたのに。

『さて、と』
『禁じられた森に行くのか?』
『あそこが一番被害は無いだろうし』

うっかり生徒を巻き込む心配もない。

『鴉、こいつが無茶しない様に頼んだぞ』
『分かっておりますよ、セブルス殿』

・・・お前等会話が夫婦なんだけど。突っ込んだら負けだよな?

『取り敢えず何か捕まえてくるわ』
『召喚と猟を一緒に例えるな!』

何かぎゃーぎゃー言われてるけどしーらね!
鴉が飛ぶ背に乗って。セブルスの部屋から学校を後にして森へ急いだ。

「なー鴉」
『何でしょう』

召喚の陣を書いて血を落とした瞬間だった
俺、八岐大蛇以外はドラゴン系あんまり出したくなかったんだけど

「どうしてこうも面倒なの出て来るかね?」
『ギリシャ地方の沼地に潜むヒュドラですね。その横に居る大きな狼はアースガルズのフェンリル。激レアですね』

資料を読みながら淡々と話す鴉に脱力した。激レアって・・・ゲームじゃねえんだから。
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