第2章 賢者の石
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嗅ぎなれた匂いにうっすらと目を開けて。
匂いを防ごうと布団に潜ろうとしたら
『朝ですよ主、起きてください』
バっと、被っていた毛布を鴉に剥ぎ取られた。
『ちょ、おまっ!』
『ハロウィンですしお菓子もご用意しました。うっかり渡し忘れて悪戯されぬ様』
日本のオトンよ。聞いてくれ。鴉がかーちゃんみたいなんだが如何すれば良い?
『昭久は起きたか?』
『はい、セブルス殿』
『お前が犯人か』
『はあ?』
ちょっと前まで良いお兄ちゃんポジの鴉がまるで母親の様になった原因はキサマか。
『では、失礼します』
そう言って消えてった鴉を見送って。
『今日はハロウィンだな』
『セブルスはお菓子用意したん?』
『私にtrick or treatと言ってくる奴はお前くらいだぞ』
『今年はハリー居るじゃん』
『・・・あ』
おい、素で忘れてたな。
『そしてハリーに釣られて友達も言ってくるだろうなぁ』
『それは考えて無かったな』
『んじゃまず。trick or treat』
にっと笑って、手を出したら。『お前は子供か』と言いつつ何かの包みを手の上に乗せて来た。
『お、クッキーだ』
『朝食前だから食うなよ』
『食わねえよ!ガキ扱いすんな』
こいっつはもー!変なとこで保護者ぶるな!
袖の中に鴉が用意したお菓子を突っ込んで・・・。
ある意味出陣、ってな。
生徒がどんな悪戯してくるか見ものですよ。
セブルスと共に、部屋を出て広間へ向かった。
『カボチャ臭い・・・』
『日本に住んでいると・・・余計にな』
本場のハロウィンを楽しめるのは良いけど
お菓子のカロリーってどんだけあるんだろうな。
教員席に座ったら、隣にセブルスが居るせいで生徒が来たくても来れなかったそうな。
『スネイプ先生!trick or treat!』
『ようハリー、これどうぞ』
『わあ、昭久ありがとう!スネイプ先生も!』
無言で、さっと渡すのやめようか。セブルス。
何か言ってやれよ・・・
『主よ』
『ん?白凱なあに?』
『trick or treat』
『・・・』
白凱に余計な知識与えたの誰だ。俺か。
あんぐりと開ける口の中にお菓子を突っ込んでやった。