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妖狐の灯火

第5章 番外編


急いで帰宅し、医者にも見せ霊媒師にも見せ、匙を投げられたとこでうちの神社に藁をもつかむ思いでやって来たのだ。
口はひたすらに食べ物を食べ続ける、家にある食べ物を枯渇させても暴食は止まらない。

『親父は対処法知ってたの?』
『力任せに剥がす事しか俺にはできんよ』
『ああ、それやると娘さんの方に後遺症残りそう』
『お前の方が穏便に済ませそうだな』

英語でくっちゃべってるけど親御さんを不安にさせたくない訳で、大丈夫ですよとにっこりと微笑む。さて、何とかしに行くか。

「娘さんが憑りつかれた場所に行ってきます。それで済みますよ」
「本当ですか?!」

レギュに用意して貰った物を受け取り、霊視で見た場所に飛ぶとその場の重い空気に少し息が詰まる
少し歩いて着いた場所は大小様々な地蔵がびっしり並んでいるのだが全員首が無い。

数日前、ニュースで騒いでいたっけな。人間の手で折られた首は全部足元に転がっていて、誰も居ないのに薄気味悪いくらいに視線が突き刺さった。

いや、見ないふりをしているだけで凄い何か居る、凄い量の死んだ御霊が。

子供の霊は特に地蔵を拠り所にしたがる。それの首を折った本人達は呪いという形で罰を受けているだろうがあの娘さんは近くを通りかかった一般人だ

ことりと、供え物として握ってもらったおにぎりと水を置いてから周囲に結界を張って目を閉じた。

「高天原に神留座す 神魯伎神魯美の詔以て 皇御祖神伊邪那岐大神 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に 御禊祓へ給ひし時に生座る祓戸の大神達 諸々の枉事罪穢れを拂ひ賜へ清め賜へと申す事の由を 天津神国津神 八百萬の神達共に聞食せと恐み恐み申す…」

ごめんな、神域を汚すのはいつだって人の手だろう。
穢れがあったとしても元々は人間の思念であって神ではない。

顔を上げると足元に何か、否、小さな子供が蹲っていた。普通の人間ならばどこから子供が入ったのだと疑問に思うかもしれないがこの子はあの娘に憑りついていたものか。

顔を上げたと思ったら愛らしい顔が俺の目を見つめてにこりと笑う

『もう、おなかいっぱい。ありがと』
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