第5章 番外編
2017バレンタイン
ずっと、ずっと焦がれた方がいるんです
その華やかな姿は、東国の人種だからという訳でなく
才色兼備、身内にはとても優しく凄く美しいのです。
『昭久先ぱ…先生』
『ん?どうした?Msフローレンス?』
教師だから、そんな事は分かっていても名前を呼んでくれるのは嬉しい
在学中から慕ってる先輩なら尚更。
嬉しくて、嬉しくて先生の横でふふっと笑って
『あの、昭久先生』
『ん?どうした?』
『先生の国では一風変わったバレンタインがあるんですね』
『ああ、こっちではカードだもんな。日本のバレンタインは女の子は想い人にチョコを渡すんだよ』
『次の月の、ホワイトデーでしたっけ。お返しは』
『詳しいな、偉い』
『日本の事、勉強する機会があったんです』
褒められた、嬉しい。
きっと私凄く顔が赤いかもしれない。でも、頭を撫でてくれる先輩の手が何だかくすぐったくて
ああ、いけない
先輩に、先生に渡さなきゃいけないものがあるのに。
『おーいお前等、そろそろ寮に戻れ!監督生、引率頼むな』
『はい!』
あ、時間はもう就寝時間になりつつある
何とかして先生にチョコを上げなきゃと先生の注意を引き付けようとした時
こつんと石の段差に躓いた。
まずい、チョコが潰れちゃうと思いながらぎゅっと目を瞑って衝撃を覚悟した
筈なんだけど、一向に痛みはこない?
『何をやっているのかねMsフローレンス』
やば、やばい。寮監だけどこの先生は普通の先生とは違う
昭久先生のお兄さん?的な方だと聞いた事はあるけど。