第5章 番外編
八岐大蛇
「来年で卒業かー」
「早いものだな」
ホグワーツに入学してから6年を過ぎた夏休み
8つの時に出会った情けない顔をしていたセブルスは
二重スパイを公にしてから、命の危機から守ろうと日本にあるウチに、一緒に住むことになってもうすぐ10年
何だか年の離れた兄弟みたいに育っていってたらこいつ結構話しやすいんだよね。
畳に座って巻物を読んでるセブルスの背中に寄りかかる様に、背中合わせでぐだぐだしてて。
ふと思い出した。
「そう言えばこの前神社の裏に雷落ちたろ」
「ああ、凄い音だったな」
「その夜さ、気になって1人で行ってみたんだけど・・・痛っ」
「夜中に1人で出歩くのは感心しませんな」
「ちょ、お前良い所で殴るなよな」
「話の内容が悪い!」
んでさー、と続ける俺にはぁ、と溜め息が背後から聞こえても俺は続ける
「裏山に登ってって、丁度祠の横にあったでかい木に直撃したのか真っ黒だったんだよ」
「よく祠が無事だったな」
「何かを封じた札、思い切り剥がれてたけど」
「はあ!?」
「いってえ・・・急にこっち向くなよ」
セブルスへ寄りかかってた背中が、急にこっち向いたからそのまま転がったら畳に頭をぶつけた。地味に響いたぞ今!
「その祠、どうした」
話が気になるのか青褪めたまま聞いて来るもんだから
「祠はどうって事無かったよ?剥がれてた札貼りなおしたし」
「・・・そうか」
こいつこっちに住んでから妖怪の事とか勉強したから何気に警戒心強いんだよな
「黒焦げの木の裏から黒い、長髪の男が顔を覗かせてさ」
「・・・嫌な予感しかしないんだが」
「霊かなと思って見てたんだけどどうも様子がおかしくて」
服は和服だった、白い着物に青い袴を履いて
「男の袴の裾から急に真っ白い、でかい大蛇が8つ現れた」
「ぶっ」
ちょ、茶噴くなよ。びびった
「セブルス絶対日本のホラー映画とか見れなさそうだよな」
「話を逸らすな!お前は無事だったのか?」
「無事だからここに居るじゃん」
「ぐ・・・、そうだが。そいつはどうした」
茶を噴いたテーブルを布巾で吹くセブルスの手を
寝転がりながら目で追って
「八岐大蛇って知ってる?」
「確か日本の神話の神獣だったか?それがどうした」
「さっき言った祠、邪神を封じてたみたいでさ」
「まさか・・・」