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妖狐の灯火

第4章 アズカバンの囚人


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珍しく地上に出ていたリドを捕まえて、偶には気晴らしにでも誘おうと昭久の元に案内して貰っていた。
紅茶、昭久の好きな焼き菓子に…

『セブって昭久に甘いよね』
「…まあ、自覚はある」

女子トイレから配管を抜け、地下に降りてから、ドォン…ドォン…と響くような音に顔を顰める。
原久殿とルシウス先輩が戦闘訓練を受け持つとは聞いていたが、どれだけ扱かれてるのか想像できないのだが。
リドのパーセルマウスで扉が開いた瞬間、力と力がぶつかる衝撃で発生した風を全身に受けながら部屋を見渡す。

どうやら2対1で互角か。昭久も完璧に勘が戻ってきてる様だが全体的に底上げしたいと計画を練っていたのを聞いたな。

「原久殿、そろそろ休憩にしてはどうですか」
「お、セブルスじゃねえか」

昭久の方に歩みながら原久殿の方に声を掛け、そうすっかと軽快に笑って返事が返って来た。
肩で息して膝をついている昭久の元に行けばばったりとそのまま倒れて慌てて抱き起す。

『うわ、昭久ボロボロだね』
「…死ぬ、寝ずに全力とか死ぬ」
「因みに何日だ?」
「2日」
「原久殿?」
「まあ、そう睨むなセブルス」

原久殿は元気ですねと言えばルシウスと交代で仮眠取ってたと言う。それでは昭久が瀕死になるのは当たり前だなと溜め息を吐いて。
ぐったりとしている昭久を抱き上げれば弱々しく抵抗されたが無視して壁を背に座らせる。

「おし、昭久。暫くは上で休め」
「…は?」
「修行は終わりだって言ってるんだ。限界まで引き上げたからなあ」

まあ、続ける気でいたなら止めるつもりであったが。
昭久はガクリと項垂れたまま頷いてたから納得したのだろう。ラストスパートで2日ぶっ続けとか原久殿のスパルタ振りが恐ろしいな。
ルシウスは見当たらないなと見渡せば先に医務室に向かったとの事。

…医務室?

「昭久に腕持ってかれかけてたな」
「それ下手したら死んでませんか?」
『セブルス、お父さんに何言っても無駄』
「まあ、魔法薬で回復する程度の傷だな、今夜だけだ辛いのは」
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