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妖狐の灯火

第4章 アズカバンの囚人


17

さあて、どうしてやろうか。

放った蛇からの報告聞いてるけど、特にそれらしいネズミは居なかったってさー

「蛇を放ったのか」
「この方が効率良いと思って…何でルシウスいるの?」
「こいつもお前の役に立ちたいと言ってな」
「お久しぶりです」

親父の声に振り向けば、ルシウスが親父に仕えるかのように一歩下がって頭を下げて来た
いつの間に日本語を…青狸の蒟蒻も真っ青案件でしょ。

「日本語うまいね」
「まだ、少しだけ」
「ああ」

よくあるやつ。成程、なら納得だ。

横に立つ親父に頭押し付けて、ぐーりぐーりしてたら笑われ
頭をわっしわっしと撫でられた。

珍しく甘えただな。そう笑われても、何となく反発できない
何かここ数年やたらドタバタしてるから脳みそパンクしそうなんだよ。

「お前は好きに動けばいいんだよ。なぁに、何かやらかしても兄貴もリドも居る。俺も玉藻も居る」
「…あんまり頼り過ぎると駄目男になりそうだから程々にしとくわ」
「お前はガキの頃から甘えるの下手なんだからよ」
「大人の精神持ってるからしょうがないと思うけど?」

無茶ゆーな。
セブくらいしか素直に甘えらんないし。

さて、いつまでも甘えてられんと姿勢を正し、自室に入る。
居るとは思ってたけど何で俺の部屋でセブが寛いでるんだろうね?

「アホ鼠は捕まったか?」
「ぜーんぜん、意外に上手く逃げてるみたい」

親父とルシウス来たからと伝えば俺と同じ反応した。
ルシウス先輩が?と

鴉が淹れてくれた茶を啜って、鼠に効果的な肉食動物は…蛇と。嗚呼、梟もそうだったな

猛禽類でも放ってみようかとテーブルに突っ伏してブツブツ言いながら唸る
あの鼠、見つけたら秘密の部屋にでも幽閉してやろうか。

「大丈夫かお前」
「…何か皆に心配されるけど俺そんなに瀕死?」
「色々背負い過ぎだと言われてるんだと思うぞ?原久殿はそう言わないと思うが」
「あー…妙に優しかったのは心配されてたのかぁ」

視線を外へ移せば、季節的にもう秋から冬に差し掛かるところ。

「中二病ジジイを倒しただけなのに何たる仕打ち」
「その中二病ジジイがまだ生きてるからこうなってるんだろうな」
「もうあいつの実家行ってナギニぶった切っても良い?」
「…実家にいるかも分からんだろうか」

あの家に監視置こうぜ。来年きっと必要になるから。
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