第3章 秘密の部屋
40
カツンカツンと地下道特有の音が鳴り響く
今学期ももう終わるから
あいつに挨拶していこうとリドと決めて
秘密の部屋にやって来た
『バジリスクおいで』
リドの呼び掛けに、目を封じられたままのバジリスクは音を便りに俺たちに懐く
『もう今学期が終わるのか?』
『うん、そろそろ仕度して帰らないと』
じっと、リドの方を眺める様にバジリスクは彼を見る
『帰る所が出来たか、スリザリンの末裔よ』
『え・・・』
「まー俺の家だけどな」
『成る程、陰陽師殿の家で迎えられたか』
リドは嬉しい様な、顔を複雑そうにして
『・・・また来るよ、バジリスク』
『ああ、また来い』
「さて、帰る仕度すっか」
昭久は帰っていくバジリスクの頭を撫でて。
無言のリドを横目に地上に戻って行った
さて、教師は生徒が帰ってから帰るんだけど
ざわざわと、色々声をかけてくる生徒を見送ってから自室に戻ると
親父はマルフォイ一家と飛行機で帰るんだって先に帰ったのか。
セブの部屋に入ると仕度を終わらせ紅茶を飲んで寛いでた。
「もう帰る準備は出来たのか?」
「まあなー」
あとはジジイに挨拶するだけだ。
3人で校長室に向かうと待ってたかの様に微笑まれ
『また来年からは2教科掛け持ちじゃのう』
『日本語増えたくらいじゃ何ともないって』
この子は自分の負担に鈍い。
リドとセブルスに目配せをすると2人ともこくりと頷き。
無茶をせんように見ていてあげておくれ。
昭久の頭を撫でるダンブルドアに挨拶をして校長室を出る子達を見送り
アルバスは窓から外を見て、過去に来た時の昭久を思い出していた。
ああ、神はなぜあのこを辛い運命へと追いやるのか
『渡りとは、恐ろしい神の悪戯じゃ』
昭久から贈られたロザリオを握り、それでも祈らずにはいられなかった。
妖狐の灯火:秘密の部屋
16.3.16完