第3章 秘密の部屋
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「戻ったか、昭久」
「お・・・やじ・・・?ゴホッ」
ふと目を開けると半年振りの懐かしい俺の部屋の天井
此方の時間ではどのくらい経ってたんだろ。
ゆっくりと水を飲ませて貰って身体の筋肉が落ちたのか
自力で起きられない程に衰弱してて。
親父の肩を借りて起き上がる。
「やーべぇ、暫くリハビリだなこれ」
ガックリ、めんどくせぇとボヤいたら親父に小突かれて。
「半年ギリギリまで居やがって、肝が冷えたぞ」
「俺どれくらいここで寝てた?」
向こうでは半年だったけど此方は少ししか時間が経って無い筈。
親父に目線を送ると厳しい表情で。
「馬鹿者、正月なんてとっくに過ぎて2月だ」
「えーと?」
「お前は12月にあっちに行ったんだ」
あ、2ヶ月しか経って無いのか。
流石にずっと眠ってただけあって身体が重いな
あの騒ぎの後、レギュラスにお別れを言ってアルバスと親父に挨拶して帰ったんだっけ
「そうだ!親父、レギュラスは?!」
ばっと、親父に向かって聞くと。
驚いてキョトンとしたけど、一瞬で笑顔になって
「会いに行くか?」
良かった、生きてるんだ。
安心した俺を急に抱き抱えて、ちょお!!
「クソ親父いいい!姫抱きはやめろおお!」
「はっはっは、軽くなったなあ」
急に転移術を使われて、抵抗むなしく着いた先は日本の屋敷の前。
「あれ、安倍の分家じゃん」
「おう、おーい!邪魔するぞー」
連絡無しに急に本家の当主が乗り込むってどうなの親父。
「・・・原久?どうした急に。昭久も久し振りだな」
「こんにちは叔父さん、ごめん急に」
「何か術を使ったな?昭久。こんなに痩せて・・・粥でも用意させるから少しゆっくりして行け」
「おい、彼奴いるか?」
親父の彼奴、で理解したのか叔父さんは頷いて
「呼んで来る、昭久はそこでゆっくりして行きなさい」
叔父さんに頭を撫でられ、リビングに通され
ゆっくりとソファに降ろされる
きっと、親父は卒業したレギュラスを日本に連れて帰ったんだ。