第15章 It’s my fault
「マイク先生!結婚したんやね!ウチびっくりしたよー!」
「おめでとう先生!」
生徒達が同期のアイツに群がる。理由は簡単。
先週、結婚を発表したから。
「女子リスナー、ありがとな」
誰も知らない、忘れられない雨の日。
「マイク、まいか元気か?」
「イレイザー!元気だぜ!煩いくらいにな!」
あの日、俺が流した涙なんて誰も知らない。
「え、先生、マイク先生のお嫁さん知ってるん?」
「イレイザーも嫁さんも同級生なんだよ。そうだ、イレイザー今日家来いよ。まいか会いたがってたぜ」
だけどあの日あいつが流した涙の意味くらいは分かってる。
「…生憎仕事が山積みなんだ。また今度な」
俺はあいつを幸せになんかしてやれない。
分かっているから、身を引く。
それくらいしか、してやれない。
「相澤先生はいい人いらっしゃらないんですか?」
頭に浮かぶのは、薄明かりに浮かぶあいつの泣き顔。
「…いねぇな」
大丈夫。
もしまた通り雨に降られたら、ちゃんと傘をさしてくれる奴がいる。
だから笑って、二度と俺を思って泣いてくれるな。
出席簿に挟んだ花弁は偽物。思いだけしか、本物はない。
あれは全部、青い春のせい。
忘れていいから、忘れさせないで。