第14章 夜明けのララバイ
「さぁラストナンバー!人気急上昇中の若手バンド!クリームハイツ!この四人の奏でるメロディー、世界観、全てが圧巻!今日はこの曲でお別れだ!毎週金曜深夜一時、プレゼントマイクがお届けするノンストップレディオ!今夜もサンキュー、いい夢見ろよ」
掻き鳴らされるアコースティックギターの音色。
途絶えた愛おしい声の変わりに響く歌声が私を慰めた。
まるで泣きじゃくり疲れ果てた私をあやし、眠りに誘う雑音。
馬鹿な愛を捨てきれず彼のLUCKY STRIKEをテーブルの一等地に置いて眠る馬鹿な女。
そしてまた夜が明ける前、世間から隠れるようにこの部屋に来る愛おしい馬鹿な男。
夜明けのララバイが鳴り響く、小さなワンルームマンション。
がちゃりと鍵を鳴らすのは、あと何回?
さようならと言えるのは、まだ先?
夜明けのララバイが、頭に鳴り響く。
ララバイ、ララバイ。