• テキストサイズ

ENCORE

第13章 weep weep weep




彼がどんな歌を好むか知らない。

カサついた私の好みを好いてくれるかも
私には分からない。

それでも、彼は、良いと言った。

それだけで、満たされた。


ただ明日も明後日も、彼の横顔を見れたなら、
誰よりも幸せだと思っていた。
なのに、ほんの少し触れた其処から、少しずつ贅沢病に侵される。

出来れば近くで。叶うならずっと。

触れていられれば良いと思ってしまったのだ。


「またいい曲あったら教えてくれよ」
「私ロックしか聴かないよ」
「じゃあ俺、まいかが聴く曲が好きなのかもな」


闇に食われた教室で、そう囁きあって肩を寄せた。
始まるでもなく、終わるでもない。
ただ、私の好きを彼と共有するそんな時間が、私をまた少し、ほんの少しだけ贅沢にさせてしまうのだろう。


/ 156ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp