第20章 Dawn rain
「卒業してから今まで、まいかさんを忘れた日なんて無かったよ。まいかさんの活躍が僕をここまで支えてきてくれたんだ」
肩を掴まれ覗き込まれた。丸い瞳に映る私は酷く醜い。
「でも出来るなら、これからは側で支えて欲しいな、なんて思うんだ」
真っ直ぐに見つめられ告げられた彼の思いは、私の心をいとも容易く溶き解す。
「信じていいの?」
「信じていいよ」
再び腕の中に閉じ込められて私は声を出し泣いた。
折角だから額は使ってやろう。
私をここまで強くしたのはあの朽ち果てた思いだ。
額に入れて飾ってやろう。そしてその横にこの不思議な空を飾ろう。
あの頃も、今も、これからも、きっと私は彼に恋をする。
そしてきっと私は、涙を流すだろう。
それでも彼の横に居られるならば、私はまた強くなれる。
朽ちた後、そこには新たな何かが芽吹く。
「帰ろっか」
「何処に?」
「うーん、とりあえず今日は僕の部屋においでよ」
募る話はまたいつか。
今はこれからについて、話そうよ。