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【MHA】声を聞かせて

第1章 サヨナラ、引き篭もり生活


 まさか高校を卒業してからかの有名な雄英高校の門をくぐることになるとは思ってもいなかった。高校3年生の時に就活の為に購入したスーツに身を包んだ私は意を決して雄英高校へと足を踏み入れた。夏休み中ということもあり、校内に生徒達の姿はない。片手に、私宛に届いた封筒を手にし、指定された教室へと足を進めた。既に面接は始まっていたらしく、私は他の面接者同様、教室前に並ぶ椅子に腰を下ろした。暫くすると、名前を呼ばれ、教室へと案内された。頭を下げ、教室に入ると、有名なヒーローが数名机を挟んで座っていた。テレビでしか見たことの無いそのヒーローの姿にドキッとした。雄英の先生は皆プロヒーロー。そして、雄英高校の寮母に必要とされる資格もプロヒーローの資格を持っている事。私も資格こそは持ってはいるが、実際にヒーローとして活動したことは無い。なんせ私は引き篭もりだから。


「やあ、よく来てくれたね。お母さんから話は聞いているよ。話せないんだって?筆談で構わないから、面倒だとは思うが質問に答えてくれるかい?」


 その問い掛けに私はコクリと頷いた。投げかけられる質問の答えを私は紙に書き、それに答える。幾つかの質問が終わると、最後に何か言いたい事はあるかい?そう尋ねられ、私は紙に正直な気持ちを書いた。


「(私は個性のコントロールが出来ません。万が一何かがあった時、先生達と同じように生徒を守る自信もありません。場合によっては、私自身の個性で生徒を危険な目に合わせてしまうかもしれません。)」


 私は固く閉ざした口を開いた。声を出すのは、引き篭もり生活を始めた2年半ぶりの事だった。だから、声が震えた。


「…なので、どうか不採用にしてください。お願いします。」


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