第1章 失った温もり
ガンッ
犬は、はたかれた瞬間「キャウン」と鳴きそのまま家に勢いよくぶつかって下に落ちた。
目をやると頭からひどく流血している。
「ルーフウゥゥ!!!」
少女の目が涙で滲む。
今までなんとか自分を支えていた二つの足も、力を失い少女はペタンと地べたに座りこんだ。
それを見てか巨人はまた一段と気味悪く微笑んだ。
(こっちに向かってくる……)
ズシン……ズシン……
(でも、もう逃げられない……)
少女がうつ向きがくがくと震えていると、ふと背中にあった気配が消えた。
顔をあげると、目の前に老婆の姿があった。
「おばあちゃん!?」
「いいんだよ。私には逃げる足もないし、もうこの歳だ。どうせこの先生き延びたって知れてるよ。」
そう言って振り向き微笑む。
「だめ…だめだよおばあちゃん!!」
必死にその細い足にしがみつく少女。
こうしている間にもお構いなしに巨人は近づいてくる。