第1章 幼少期
信之さまの睨みが効いてる中、信玄公との謁見を済ませ(抱っこされたり頭撫でられたけど!)
今回は何事も無く済みそうだなと3日ほど弁丸と遊んで過ごしてたら。
早朝、泣きながら弁丸が部屋に尋ねてきた
「弁丸?どうしたの?」
「佐助が・・・佐助が・・・」
「佐助が言われた期日、昨日まで戻らないのです」
「信之さま」
ぐすぐすと泣いて縋ってくる弁丸を撫でどうしたものかと考える。
「信之さま、諜報先の場所って、遠い?」
「佐助の足ならば片道半日かと」
それだと早く着いて紛れ込んで戻って来るには十分よね。
戻って来ないと言う事は何かあったって事で
「黒羽、雹牙」
後ろに控えている二人に向き直り、申し訳ないけど、行って貰うしか無いよね・・・
「私が行きます、雹牙は姫様のお傍に」
「ああ、今度は大丈夫だ」
城の中だからなと呟く雹牙は、畠山の件を気にしているのかな?
大丈夫だよ、此処は信用できる。信之さまも昌幸さまも居る。
「信之さま、黒羽に任務先を、教えてくださる?」
「市姫?良いのか?」
「腕は確かよ?」
「・・・忝い、市姫の兄を少しお借り致す」
そう言って信之さまは頭を下げる
「黒羽殿、詳細は父の所で話を、着いて来て頂きたい」
「分かりました」
「弁丸は・・・」
未だ泣き、ぐずって私の肩に引っ付いてる子はですね。
「弁丸は、市と一緒に、待ってるわ」
「何から何までありがとうございます」
あ、でも
「見取り図?見てみたいかも」
「では、父に来て頂く様に手配する」
「いいの?」
「市姫の見解も見てみたいのですよ」
大した事言わないと思うんだけど、何か期待されてるんだろうか。
数分もしない内にバタバタと足音が聞こえ昌幸さまと仁助さんが書類両手に部屋に入ってきた
「済まない、待たせたな」
さて、見取り図を開いて作戦会議ですな。弁丸にも良い勉強になると良いですね。