第1章 幼少期
「昌幸殿と仁助殿の命令もろくに聞けぬ1人前気取りが」
「少し灸をすえてあげましょうか」
「いだだだだあ!何だよあんたら!?」
「姫様の前で二つ名を放った事を、心の底から後悔しなさい」
「仁助殿、お市様を見てくれるよな?」
有無も言わさない雹牙の言葉にお父様・・・仁助さんが青褪めてこくこくと首を縦に振る。
「姫様」
「ん?」
「ほんの一刻程出てきます、仁助殿から離れぬ様に」
「・・・うん」
そう言って佐助を顔面アイアンクロー状態で連れてった2人を見送って
2時間も何しに行くの君達、怖かったデスヨ。
「仁助さん、宜しくお願いします・・・?」
「市姫さんごめんよ」
何故か悲しそうに頭を撫でられた。どうしたの?
「佐助は婆娑羅を持ってるせいか自意識が強くてね、自分が強いと慢心してるせいか俺の言う事も聞かなくて」
「何か2人が、急に怖くなった理由、知ってるのね」
そう言うと仁助さんが驚いた様に私を見て。
「市姫さんは本当に聡い子だね、2人は二つ名を知られたく無かったんだ」
二つ名だけで?何かあったんだね。
「悪い意味なのね」
「忌み子を、鬼子を指して言われてたらしいよ?」
へええ・・・一瞬かっこいいと思ったけど、本気で里聞きだして仕置きしてやろうかな。
「市姫さん?婆娑羅が滲み出てるよ・・・?」
「ふふ、怒ってるから、かな?」
「馬鹿息子が本当にごめんなさい」
土下座されたけど、仁助さんのせいじゃないのに。悪いのは全部里のせい。
帰ったら兄さまに聞こうっと。
一刻後に帰ってきた黒羽と雹牙はボロボロになって震えて帰ってきた佐助に更に正座で説教して
あー、多分佐助の心のトラウマになったのはちょっとゴメン。
うちの保護者過保護だから・・・。