第1章 幼少期
「市姫の容体に何かあれば直ぐに薬師を出せる様にしとこう」
「ありがとうございます」
「其れと、畠山はどうなった?」
「姫様を傷付けた報いは受けて頂きました、生きては居ますがね、生きながらにして死すまで苦痛を」
「・・・アンタ、物腰柔らかい口調なのにおっかないね、絶対敵にしたくない」
おや、正直に話したんですが3人共苦笑いされてますね。
「あのさ、黒羽殿」
「はい、何でしょう?」
「俺の息子の噂は聞いてる?」
来る前にチラッと姫様にお話したと伝えたら・・・ガックリと。
「此処のご子息の弁丸様に仕えさせたんだけど、昔の自分を見てる様に堅物でさ、婆娑羅者で腕が無駄に良いからか凄い自信家なの」
「はぁ」
「ちょっと妙な自尊心ばっきばきに折って欲しいんだよね」
「はぁ?!」
何言ってるんだこの男は。自分の息子だろう。
そう思ってたら深く溜め息を吐いて
「俺、父親だけど婆娑羅者じゃないから説得力が無くてさ、参ってんの・・・」
「嗚呼、納得しました」
「即答かよ!?」
私達の会話が面白いのか昌幸殿と信之殿が肩を震わせて笑っております。
「悪いな黒羽殿・・・俺の息子、弁丸も中々仁助の息子に懐けずでな、市姫に暇があったら頼まれて欲しい」
「昌幸殿が仰るならば、姫様に伺っても?」
「ああ、頼もう」
姫様、此方での生活も大変になりそうです