第1章 幼少期
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只今、甲斐に入りもうすぐ上田城ってとこで頭を悩ませております
原作では幸村のお父様はともかく、お兄様の信之様が居ないんだよね。
史実の諸説では健在だったし、関ヶ原では血を絶やさぬ様に態々
昌幸様と幸村は西軍、信之様は東軍に在籍し、戦で負けた昌幸様と幸村は幽閉されたと聞いたけど
この世界の昌幸様と信之様の運命が全っぜん分かんない。
「お市様どうした、気難しい顔して」
「何かお悩みですか?姫様?」
「此処で何すれば、良いのか…悩み中」
「珍しいな」
独りで抱えてても埒があかないので、さっきまで悩んでた史実とこの世界での真田一家の違いをお話をしたら黒羽と雹牙は何か納得したように頷く。
「嗚呼、此方の世では昌幸殿と信之殿は戦で亡くなるかもしれない、と」
「お市様、其れは多分大丈夫だ」
雹牙の大丈夫の意味が分からなくて首を捻ると
「過去に、武田と真田が対立してた軍は既に信長公に脅され最近は動く気配も無いな」
「甲斐に進軍しようとしてる厄介な軍は見当たりませんね」
「謙信公とのは…只のじゃれあいだな」
ごふっ、兄さま。私はもう色々突っ込みたい!
キリが無いと言われ様が突っ込みたい、どうしてこうなった。
「唯1つ、問題があるとすれば」
「彼奴か」
彼奴って誰?何か問題人物でも居るの?
「姫様、行けばお分かりになりますよ」
「うん?」
上田城について昌幸様と、丁度上田城に戻って来てた信之様に挨拶し、兄さまからのお手紙を渡す
あ、そういえば。
「昌幸様、伊達輝宗様から、お手紙」
「ん?輝宗から?何でまた市姫に使いをさせるのだ彼奴は…黒脛巾を使えば良いものを」
苦笑いで文句を言ってるくらい仲が良いのねお二人とも。
昌幸様が輝宗様からの文を開き読む時に、隣に居た信之様がひょっこり覗き込んでるけど良いの?それ。
「親父殿」
「うむ」
…何が書いてあるんだろう、凄く気になるな
「黒羽と、雹牙と言ったか、どちらか後で少し話を聞いていいか?」
3人で顔を見合わせて、首を捻ってから
「私でよければ」
今一状況が掴めてない私達は首を傾げつつ、黒羽がお話に行くそうです。
不意に信之様に撫でられ
「市姫、少し話を聞きたいだけだ、心配そうな顔をしなくていい」
「はい」
昌幸様と信之様に再度頭を下げ、黒羽を残し雹牙と案内された客室へと向かった。