第1章 幼少期
33
任務の際に油断してたか、不覚にも傷を多数負い
その内の1つ、傷からの血が止まらずどんどん血の気が失せていく
情けないが動けなくなり木に寄り掛かり、少し気を失なって居ただろうか
近付く気配に気付き目を開けたら、まだ幼い娘が忍を連れて目の前に居た
ここまで近付かれて気付かないとは、余程気を失なっていたのか
忍が俺の視線に気付き娘を引き剥がす、この娘
身分が高いのか
娘の発言を聞いて驚いた、俺を手当てしたい?
里でも此の髪色で周囲の奇異の目に晒され、実力が無ければ鬼子として殺されて居たかも知れない俺を?
娘が俺のすぐ傍まで近付きその場に座り、手当てに使う物だろう。
1つ1つ安全だと言い聞かせるように説明してくる
名を問うた所、今忍達の間で耳にする織田の姫君だった。
嗚呼、だからこの・・・ある里で俺と同じく鬼子と呼ばれていた忍が付いて居るのか
・・・忍が主でもある姫を小突いていいのか?娘は慣れた様子だが。
殺す気は無いと判断し、手当を受けていたらもう1人忍が大急ぎで遣ってきて
この目の色は、もう1人の忍と同じく噂は聞いている。
2人のこの忍は、鬼子と呼ばれながらに強力な力を持っていると
其れを従えるこの娘は只の姫君なのか?
手当てが終わり動けそうかと聞かれたが、血が抜け過ぎたか
少しこの状態で回復を待たぬと動けないと伝えた途端
娘が忍の方を振り返り、何か即座に却下されている?
・・・だから、忍が主を説教するとか・・・色々突っ込みたいが日常なのだろうか。
少し長く言い合いをして忍が折れたが、話の内容を聞いてさらに驚く
俺を、動けるまで相模の近くまで送る!?
何故と問うたら2人の忍は・・・この娘は優しすぎるのだと
聞いて、妙に納得した。見ず知らずの忍の俺を容易に手当てするのだから
この鬼子と呼ばれていた者達も、何も思わず受け入れたと言う。
無知なのか、懐が広いのか測り知れん。