第1章 幼少期
「其奴を動ける様になるまでか、または里まで送りたいと言う気だろう」
「里までじゃなく、相模の近くまで、でも」
「姫様、本当に御立場分かってらっしゃいます?」
「分かってる、分かってる、けど」
この前の畠山の件で心配なのは分かってます。
けどこの人はちょっと見放したくない理由もあってね?
未来のこの人、風魔小太郎が存在しないってなったら私絶対後悔する。
少年は私の言いたい事が解ったのかオロオロと
「何か、この者に訳があるんですね?」
「・・・動ける様になるまでだからな」
私の必死さに何か感付いたのか、渋々ですが了承してくれました。
流石理解者、ありがとうございます!
目に見て喜んでる私に忍2人は軽く溜め息
怪我してる少年は驚いた顔で私を見詰めています
「ただし、姫様は雹牙と馬に乗って下さい。彼は私の馬に乗せますので」
「ありがとう、2人とも」
「おい、馬まで担ぐ。痛むだろうが我慢しろ」
「(何故?俺を?)」
疑問いっぱいの小太郎少年(まだ名前襲名されてないだろうし)に。
「お市様の願いだからだ」
「姫様は頑固ですから」
お2人さん、遠回しに我が儘だって言わないで下さい
自覚はしてます、いつも苦労かけて御免なさい本当に。
「少し遠回り、だけど、ごめんなさい」
しょんぼりして謝ったら2人に撫でられ
「お優しいのが姫様ですからね」
「この戦乱の世には致命的だがな、其れがお市様だな」
雹牙は少年を担ぎ、黒羽は私を抱き上げ馬の所まで走った。