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闇に咲く華

第1章 幼少期


32

甲斐に向かってる最中、少し嗅ぎ慣れた
鉄臭い臭いがした。

この臭いは・・・血かな?

「血の臭いがするな」
「誰か賊にでもやられたのでしょうか」

風の方向から見てあっちかなと馬から飛び降りて走って向かう。

「ちょ、姫様!?」
「見てくる」
「俺も行くから少し待て!」

雹牙が慌てて馬から降り、手綱を黒羽に任せてついてくる。
ガサガサと森の中に踏み入り、暫く歩いて草を掻き分けた所に其れは居た。

「子供か」
「この人、怪我してる」
「おい、迂闊に・・・はぁ」

すまんよ雹牙、どうにも放って置けなかったので
来る時に持ってきた医療セットの入ってる袋を開けて中身をごそごそ。

包帯と、消毒と薬っと

近付いて様子を診たら傷は多いけどそんなに深くないと思う。
気を失ってる?ちょっと出血が多いな。周囲の草が紅く染まってる。

止血をしようと近付いたら・・・気配に気付いたのか目があった。
この少年、忍?
その様子に気付いた雹牙が慌てて私を彼から引き剥がした。

「忍の者だ、気配に気付いたな」
「うん、でも」

手当てしたいって言ったらすんごい呆れた目で見られた。
心配なのは分かるけど、この少年・・・血の色かと思ったら地毛が赤いんですよ。

流石に相模にある風魔の里までは送れないけど
自力で帰れるまで手当てはしたいし。

「・・・何かされそうに成ったら容赦なく殺す、それでいいな?」
「ありがとう」

視線をずっと私に向けて警戒してる、私より少し年上くらい?
少年に近付き、1メートルくらい離れた所でその場に座る。
間合いは・・・多分大丈夫。多分。

「貴方が、自力で帰れる程度にだけど、手当てさせてくれる?」
「・・・」

手に持った医療セットを見せて軽く説明

「これは包帯と、破傷風・・・悪化しない様に、するための消毒に、傷薬」

分かってると思うけど、毒入って無いよと伝えたかったので
1つ1つ説明する。

「(お前は何者だ?)」

あ、声は出ないのかな?
口を動かしてきたので私の身元を聞いてきた。
雹牙が「言う積もりか?」って聞いてきたけど言わなきゃ警戒は解けないと思うよ

「市は、織田信長の妹」
「(お前が、各国を巡っていると言う姫か)」

あれ、風魔忍にも知られてるの?私。
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