第1章 幼少期
ついでだしと薙刀使って手合わせしました。
黒羽と雹牙にも教わってる忍流の体術も混ぜてやったら勝ってしまったよ・・・
やば、手加減出来なかった。ごめん梵天丸、時宗丸。
「次は絶対!市に勝つからな!」
いや、きっと余裕で追い越すから自分のハードル上げないでね梵天丸。
予想はしてたけど此処まで引き止められるとは思わなかった!
「ぐすっ・・・い、市さん帰っちゃだめです」
「もう少し居ても良いではないかえ・・・」
「市、勝ち逃げずるいだろ!」
「梵は悔しいだけじゃん」
いや、あのね?時宗丸はのほほんとしてるからそうでもないんだけど
前から義姫様に抱き締められて、背後に竺丸が引っ付いて泣いてるからどうして良いかわっかんない!
梵天丸よ、きみは私に勝つまで居させる気かい、冬越えるって。
「こら、お前達。市姫は遊びで使いをしてる訳じゃないんだぞ?義も・・・」
天の助け、正に鶴の一声で渋々だけどお二方から解放されました。輝宗様ありがとう
「梵天丸、尾張に遊びに行く事もできるんだ、強くなったら遊びに行けばいいだろ?」
まてーい輝宗様、嫌では無いけど尾張に来て
「勝負!」ってやって来る姿がありありと想像できるんだけど。
どうしてこうなった。
「むぅ、市・・・遊びに行くからな」
ちょっと俯き膨れっ面でそう言う梵天丸。
あれ?もしかしてこの子普通に寂しいだけ・・・?
男の子の愛情表現がいまいち掴めません
竺丸は素直で直球だけど逆に将来が恐いよ。
「黒羽殿、雹牙殿、世話になったな」
「いえ、此方こそ姫様がお世話になりました」
「此方も色々迷惑かけて済まない」
きみたち、挨拶が父母なんだけど突っ込んだら負けかな。
輝宗様がうちのお兄さん達に言葉をかけてから私に目線を合わせ
「市姫また遊びに来い。次は甲斐だろう、これを昌幸に渡してくれないか」
「預かります、お渡しするね」
輝宗様は笑顔で、頭をわしゃわしゃ撫でられながら、文を受け取った。
「お市や、何かあったらお市の兄達をきちんと頼りや?」
「はい、義姫様またきます」
そんな感じで、冬が近くなってきた奥州を出ていきました。
「姫様」
「ん?」
「あまり、ご無理を為さらないで下さいね」
「うん、がんばる」
今回は2人に多大な心配をかけてしまいました。
もう2人の悲しそうな顔を見たくないので肝に免じておきます