第1章 幼少期
この2人の手に掛かる畠山も、地獄より酷い目に合うだろうな。同情はしないが。
「輝宗様、私達の不在の間・・・申し訳ありませんが」
「分かっている、市姫は全力で護ろう」
「感謝する」
そう言い、目の前に居た忍は消えていった。
やれやれ・・・敵には絶対したくねえ
さて、俺も様子を見に行こうと、ある一室に向かった。
「義、市姫の容態はどうだ?」
「輝宗様・・・あの日から眠ったまま・・・」
市姫が城に戻ってから倒れ、それから数日、ずっと眠っている。
小さい身体に対し、血が抜け過ぎたのだろう
義が、まるで娘を労るかの様に頭を撫でている
この子が来なかったら近々、俺か息子か、誰かが犠牲に成っていたかもしれん。
「お市や、早に目覚めて其方の兄達を、妾を安心させておくれ」
初めは黒羽殿と雹牙殿が付きっきりで看病をしていたが・・・義が2人に説得してから義も看病に加わる形となる
市姫が倒れた時、義の顔は梵天丸がかつて病に伏した時の様な悲痛な顔をしていた。
俺も彼女の頭を撫で、今も沈んでいるであろう息子達の元へ歩みを進める
「父上」
「叔父上、市は?」
普段はのほほんとしてる時宗丸でさえ、衝撃であったか
竺丸は景綱の膝に頭を乗せ眠っているが泣いていたな、目が赤い。
子にはあの光景は辛かっただろう。
「未だ眠ったままだが、死なねえから安心しろ」
「父上」
「どうした?梵天丸」
「もっと、剣術を教えてくれ。父上の様に六爪を振るいたい」
「俺も、もっと槍術頑張るから」
いつになく真面目な顔の梵天丸と時宗丸に驚く
これも、市姫のお陰か?
「分かった。だが、今は休め・・・市姫が起きた時に窶れていては心配かける」
「「うん」」
嗚呼、子供の成長とは早いものだな・・・