第1章 幼少期
「氷に脚と手を取られ動けないでしょう?私の婆娑羅で呼吸も儘ならない筈です」
そして私の前に来て、私を押さえる畠山の前に
「来る、な」
呼吸が出来ないのか、其れとも恐怖か声が震えてる
黒羽の忍装束は血に濡れて、多くの追っ手を殺して此処まで来たのだと分かった。
ふと私を見ていつもの様にふんわり笑う
「姫様、辛い思いをさせて申し訳ありません」
しゃがんで、私の頬に伝っていた涙を拭ってくれる
・・・いつもの、黒羽だ。
立ち上がり、畠山を見据えてまたうっそりと微笑む
「簡単には、殺しませんからね?生きた屍にして差し上げますよ、勿論意識はハッキリと・・・」
そう言って、死なない程度なのだろうか
畠山は千本を一瞬で何本も刺され倒れた。
・・・呼吸は、してる
「お市様!」
雹牙は他の方々の縄を斬り、青ざめた顔で現れ抱き締められた。
「済まない、済まない・・・!」
「雹牙、姫様の傷口を凍らせて下さい、止血します」
ああ、そういや私刺されたっけ、黒羽の剣幕が凄くて麻痺してた。
「市姫、無事か」
「輝宗様、大丈夫」
「姫様、婆娑羅は出せそうですか?そこに倒れてる畠山から死なぬ程度に放って下さい」
そう言った黒羽がちょこっと怖かったので
奪われた分くらい吸収したら、出血は多いものの結構傷は塞がった。くらくらします
皆が解放され梵天丸と竺丸、時宗丸は泣きながら私にしがみついてきて、景綱さんに拳骨を食らわされ
報告を受けた黒脛巾の時雨さんが部下を連れ、間者と畠山の者を連行していき
長いようで短い1日が終わった。