第1章 幼少期
「いい加減にしてくれませんか?」
ハッキリと聞こえた黒羽の声と共に、辺り一面が銀色に・・・いや、凍り付いてる。周囲の森が、地面が、私達を捕らえた者の身体の一部も凍り付き
氷の上の空気に黒い瘴気が立ち込め、素早く動く影が次々と私達に向けられた刃を折って行く。
こんなに強力な婆娑羅、今まで見たことない。
この氷は、瘴気は黒羽と雹牙?
「黒羽遅い!畠山、直ぐには殺してやらん、生きた事すら後悔させてやる・・・!」
「申し訳ありません、意外と追っ手の数が多かったものでして」
雹牙の身体中から冷気が、黒羽は・・・口調は穏やかだけど目が笑っていない。
周囲の瘴気は黒羽から?
伊達の皆様はこの光景に唖然としている。
半径1キロはあろうかと思う程の氷の婆娑羅の威力、こんな力を持つ忍なんて早々居ないし
黒羽の闇の婆娑羅の瘴気の範囲も凄く広い。
「姫様を、大事な方を傷付けてくれましたね?」
雹牙の側に降り立った黒羽が1歩1歩近付いて、すれ違う刺客に暗器を刺して沈める
「ご安心下さい、急所は外して差し上げてますよ」
にこりと笑う彼の金の瞳は狂気に歪められる、これが黒羽の裏の顔?