第1章 幼少期
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油断・・・してたんだと思う
今までが順調だったから思い上がってた部分もあったと思う
輝宗様と梵天丸、竺丸に時宗丸と景綱さん、そして雹牙と少し遠出して
目的地のとても良い景色の所で談笑してた時に黒脛巾の格好をした方が現れ
一瞬の隙をついて私と梵天丸、竺丸、時宗丸の首に刃物が宛がわれて初めて偽者だと分かった。
多分、黒脛巾の中に間者が居て気付かなかったんだ。
首に刃物を宛がわれたまま後ろ手に縛られる私達を前に、輝宗様も景綱さんも
雹牙は鋭い目で私に刃を向ける者を睨み付けながら押さえつけられていた。
全員が押さえられた所で、刺客の中に入ってきた武家の者達を見て輝宗様は驚きの声を上げる
「畠山・・・!貴様」
「此れは此れは、輝宗様・・・無様な姿でいらっしゃいますなぁ」
ニタリと嫌な笑いを浮かべる壮年の武家
畠山?何で、輝宗様を襲うには時期が早い。梵天丸と竺丸、時宗丸は巻き込まれるはずじゃ無かった。
探りを入れた黒羽は?
「織田の姫君が来訪されて少々計画が狂いましてな?
魔王との同盟を強固にされる前に畠山家を弱体させた復讐をさせて戴きましょうか」
これは、私のせいだ。私が昨日感じた感覚は
間者の気配だったのかも知れない。
「これ、市のせい・・・?」
弱々しく呟いた言葉に畠山が、私の肩を短刀で刺してきた
熱い、痛みが全身を駆け巡る。
「お市様!!!」
「そうだ、織田の化物よ。やはり年齢に合わず聡いな」
雹牙の悲痛な叫びと、皆が私の名前を呼ぶ中畠山は答える。
熱い痛みの中に、身体の力が抜ける感覚がして地に伏せた。
「!・・・これ、もしか、して」
「判ったのか小娘、私も戦闘には使えないが闇の婆娑羅を所持しててな、貴様の婆娑羅を食っているが底が尽きぬ、本当に化物だな」
「畠山!貴様ぁ!!」
「動くなよ忍?小娘の首が飛んでも良いのか?」
「畠山、お前の要求は何だ!市姫は関係無い、俺を殺す目的なら俺だけを狙え」
「「父上ぇ!」」「叔父上」「殿!!」
駄目、輝宗様を殺されては此処に来た意味がない。
悔しくて、未熟なせいか混乱して婆娑羅も出せない・・・
唇を噛んだら血の味がする、悔しくて涙が出てきた。
畠山の武家の者が輝宗様と・・・梵天丸達を囲い刀に手を掛ける
「伊達も終わりだな」
畠山が勝ち誇ったかの様に笑い始めた時