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闇に咲く華

第5章 忍物語


01

ずるずる~っと。己で長い長い竹を引きずる主を見て苦笑いを零す

「お市様」
「ん?なあに? あてっ」

何やってんだと言わんばかりに、デコピンをすると片手で持ってた竹を落とし額を擦る
何をする気だと無言で問うと僅かに涙を溜めて

「ながしそうめん…」
「何で俺達を使わない?」
「びっくりさせようと思って…」
「違う方向で驚いたぞ」

一瞬己の主がアホになったのかと思った。いや、いつも行動はアホだが今日は格別だった
そう考えてたら黒羽が慌ててお市様に駆け寄る

「姫様!何なさってんですか!!」
「今雹牙に怒られたばっかりー!!」

ごめえええええん、と竹を置いて逃げる主を見ながら。竹か。
流しそうめんにするなら縦に割って、中をくり抜かねば

2本も用意して、どんだけ長いもの作る気だったのやら…

「何だかんだ言いながらお市様の目的叶えてますよね雹牙さん」
「まあな」

昴もひょこりと顔を出すが、今までの会話を聞いてたのか苦笑いで
手のかかる妹が居たらお市様であろうなと零せば大笑いされて。

「する事無いなら手伝え」
「はーい」

クナイでガリガリと節をくり抜いて、長さは1本分あれば十分だろうと繋げて
水を軽く流す。まあこんな物だろう。

問題はそうめんか、まだお市様は黒羽の説教から抜け出せてない様だな。

俺が茹でるか。

「お前も手伝え」
「俺がですか?」
「婆娑羅で薪に火を付けろ」
「種火扱い!?」

安心しろ、俺の氷もお八つや水扱いだ。この城では何らかの婆娑羅者は厨にてこき使われている。
闇は特に需要は無いが。

「あれ、流しそうめん台が出来上がってる」
「雹牙と昴にお礼を言って下さい」
「おお、ジェバンニ」
「今度からこういうのは私達に言って下さい。いくら戦装束を着てても怪我をしたら私達の面目が潰れます」

黒羽の叱る声が何だか、忍らしくなくて。
昴と共に思い切り噴き出した。
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