第4章 番外編
参った、せめてご家族の容姿が分かれば変化できたのだろうけど。容姿まで普通話しませんね。目が覚めて再び記憶の中にある家族が居ないとなればまた泣くのではないでしょうか?
側近であるのに何も力になれないのが歯痒くて、俯いて頭を掻く。
ぱちり、と目が覚めた姫様と目が合い、一瞬怯む。ええと、、その
「どこか痛いの?」
「え、いえ!…痛くないですよ」
「くろばお兄ちゃんの目、きれいね」
ひょうがお兄ちゃんの目はあかいね。きれいね。
私達の顔を覗き込んでにっこり笑う姫様を見て、嗚呼、記憶は無くとも姫様は姫様なのですね。
雹牙と昴の顔を見れば同じ事を思ってたみたいで、顔を合わせて思わず吹き出す。
「おい、部屋に籠って居れば暇だろう。散歩に行くか?」
「おさんぽ?いきたい」
「よし、お兄ちゃんが肩車しましょう!景色がとても綺麗な場所があるんですよ」
「ほんと?」
昴の肩車に喜んで笑う姫様は、今日の日の事を忘れ。翌日になると元に戻っていて。
私達や信長公の言葉を聞きながら只管首を傾げて「覚えてない」と凹んでおられました。