第4章 番外編
「お父さんが殺されたのは…何年前?」
「…8年程前ですね」
「……どこに、住んでいたの?」
「…堺です」
思い出した。大阪の。元主のあの老将が、幼い俺に命じたのは
「貴方だったんですね」
俺が、彼女に見下ろされた夢を見続けていたのは。この丘から俺を突き落とし、死んだかどうか確かめる為に見下ろしていたんじゃ
ゆっくり、立ち上がり、感情の無い笑みを見せる彼女は。
動揺して立ち竦んでいる俺を崖から突き落としたのだった。
「おきた?」
「お市様?」
暗い闇の中。お市様の膝枕で目を覚ました。驚いて起き上ろうとすれば手で制されたと同時に全身が痺れる痛みに目を見開いて。
場所がわかった、時間は経ってるみたいだけどあの崖の下だ。
「俺、馬鹿ですよね」
「うん」
「忍のくせに、情けないですよね」
「いいこ」
「…りがとう、ございます」
その後、春ちゃんを探してみたけど。夢はもう見なくなったし。あの日以来春ちゃんは見かけなくなって
今まで存在していたのかすら分からない位、生きてた痕跡が無くなっていた。