第4章 番外編
2017ハロウィン:昴
夢を見ていたんだと思う。でも夢らしい夢でもなかったし、気付いたら夢だという事も分からなくなっていて
ただずっと見られていたんだ。ずっとずっと、見知らぬ女が眠る自分を見下ろしていた。
「同じ夢ばっかり見てる気がするんですよね」
「気がするって?」
「覚えてないんです、それが」
「ふうん」
そう姫様に相談はしたもののハッキリ覚えてないものはしょうがないのでその日の会話は終わり。まあ、どうこうしたい訳じゃないからいいんですけどね
城下に偵察に行ってきます、そう言って市場の相場を調べ、照らし合わせてお市様に報告しようと書類に書き込んでいれば。
小さな呼び声に振り向くと、結構綺麗な女性が俺を見ていた。
「どちらさま?」
「あ、いえ、ちょっと知人に似ていたもので」
弱々しく此方を見る女性の顔を見るとどことなく、見た事あるような。いや、でも初対面だよね。
じっと、思わず凝視して思い出す。
「君、俺の夢に出てきたことあるかも」
「!私も、最近貴方が夢に出て来るんです」
なんだそりゃ。お互い夢で出会った様なもんだ。
変な出会いだねと噴き出して、これも何かの縁だしと友達付き合いをする事になった
「で、春さんて変な子なんですよ。夢では俺はずっと寝転んでて起きないんだって言いますし。俺も夢で春さんはずっと俺の顔を見てますし」
「何の話だ?」
「雹牙さん、例の夢なんですけど同じ夢を見てるって子が俺に声を掛けてきて」
「は?」
夢の事と、このまえ声を掛けてきた春ちゃんの事をお市様に話してたら雹牙さんにすっごい睨まれた。
いや、だって、俺の方は夢の内容話してないのにズバズバ当ててくるんだもん、信じるしかないし。お市様も不思議な事があるんだねってにこにこ聞いてくれるし。
はっ、これはもしかして春ちゃんって俺の運命の相手?いやでも困るなあ、俺忍だし
「お前少し明智殿にソレ話してみろ」
「嫌です凄く良い笑顔で斬られるんで」
結局黒羽さんも雹牙さんも春ちゃんを不審者扱いして信じてくれなくて。お市様にだけ話す事にした。
お市様優しい、流石俺の主様。