第4章 番外編
夜中、魘されている姫様を起こそうと傍に寄れば黒い物体が姫様の枕元に立っている。何事かと思い苦無を投げると、一瞬目が合った気がして。その姿は煙の様にかき消えた。
どうして
どうしてあなたは…から
から、…れて…
「手を出さないでって言われたの」
「夜中のアレですか?」
「気の毒だけど、今回は市は女の子の味方に成らざるを得ない」
どうしてあなたは 私からはなれて いってしまうのですか
ねえ なんで わたしだけって
こんどは そのかたを愛する つもりなのね
「何だ、お前達っ、ひいっ」
ミシミシと四肢を引っ張られてもがく、痛みと恐怖が男を更に混乱させる。
「痛い痛い痛い痛い、ああああああ!!」
人間離れした力が手に足に腕に絡みつき。ギシギシと間接が悲鳴を上げる。
今まで自分を見るだけだった影が、声が頭に直接訴えかけて煩い、その声はどれも聞いた事があるのだがどこで聞いたのか思い出せない。
頭の中で何かが響く、木に何かを打ち付ける光景が浮かんで消える。その姿は1人じゃない、2人3人と増えてはまた消える
良い女を見つければすぐさまそれに乗り換えた。
より格上の女なんだ、目移りするのは当たり前だった
「な、んで、俺が何をしたああああ!!」
「貴方、十分恨まれる事してるじゃないですか。その体たらくで姫様を口説くなんて身分違いにも程があります」
ブチブチと、引き裂かれたモノは彼の者の声を聞く事は無かった。