第4章 番外編
2017ハロウィン:百地雹牙
「村から人が消えた?」
「否、正確には一晩で死んだのだろう。村人全員の死体が発見された」
しかも偵察してきた忍は恐怖に怯え、その村人たちの死体の状況に怯えているという。奇病か野盗か。死体の損傷を聞いても「呪いだ」と言って震えるばかりで収穫が無い。
仕方がないので俺が現場を見て来るとお市様に報告すれば自分も行きたいと言い出して
「流行り病だったらどうする」
「病でも一晩で村人全員の変死体が上がるなんてあり得ない、市も見たい」
「遊びじゃないんだぞ?」
「分かってます」
危なくなったら婆娑羅使うから。と力技に入ろうとするお市様を連れ報告のあった村まで向かう。
現地には怯えながらも、尾張の忍が調査に当たっていて、お市様の登場にほっと胸を撫で下ろす者も居る。
まあ、調査の忍の心の支えとなったのなら連れて来て正解だったか。危険であったら帰って貰うのだが…
遺体の状況を確認する為に、案内させたのだが。これは逆にお市様が居た方が正解なのかもしれない。
「全身から血が抜けているのか?これは」
「木乃伊みたい」
「みいら?」
お市様の言葉に耳を傾ければ。異国の死体保存法だと言うが、この死体どもはその木乃伊に見えるが違うものらしく
「血が無くなってる」
「この様な事があるのか?」
「病気とかは無いわね、襲われたのかしら」
いったい何に襲われたら村人全員、血を抜かれて死ぬのか。お市様の知識で引っかかるものがあったのだろう
お市様の指示に従い、忍全員を尾張に帰還させた。だが
「何故俺達は残る?」
「原因を見つけないとだめ」
「ならお市様も城に…」
「多分市が居ないと駄目」
「吸血鬼は純潔を好むの」
は?吸血、鬼?
自ら囮になると言うお市様の肩に手を置いて、その魔物は異国のモノでは無かったのかと問うも、うーんと考える様に首を捻る。
この国に吸血鬼という者の存在は今まで出た事が無い。