第4章 番外編
ああ、まずい。この男の結界のせいか。はたまた空気に飲まれ怯えてしまった私の不甲斐なさか。近づく男を止める術が見つからず。婆娑羅を出しても何故かすり抜けて掴めない。
ってかストーカーです完璧に。幽霊でこんなにハッキリと自我を持ったストーカーを初めて見た。どうしようもできないこの空間で、どうして良いかわからず。
ただ唯一の肉親である兄の名を呟く。
ドン
「があああ!?ああっ、なんっ…!」
突然男の胸に大きな穴が開き、血飛沫を上げてその場で崩れ落ちた。
途端に闇に覆われていた視界が明るくなり、気付けば布団の中で寝ている状態で目を見開く。
「居ね、雑魚が」
「にい、さま?」
ここは自分の部屋では無くて、何で兄さまの部屋で横になってるのかとか、急に空気が暖かく感じ安心したら思わず涙がぼろぼろと零れて。
戦装束を纏い、黒い物体に刀を突き立てた兄にしっかりと抱き締められながら、恐怖でわんわん泣いた。
その後兄さまのスパルタで霊に異様に強くなった。