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闇に咲く華

第4章 番外編


2017ホラー企画:百地雹牙

織田領のとある村で、大量の死体が発見されたと報告があがり雹牙は眉間に皺を寄せたまま報告書を睨み付ける。
古い戦で廃村になっている筈の場に何故死体が上がるのか、周囲に他に村も無い。山賊の仕業かとも思ったが最近壊滅させた山賊はどこもこの廃村と縁がない場所。
ただ知られているのは昔村だった。という事だけで実際自分も行った事が無い。

信長公にその旨を報告すると信長公の御父上が織田の領地を広げる為に、まずその辺りの村を焼いたそうだが位置が明確ではないため参考にもならんと言われた。まあ、その通りだな。

取り敢えず、どれ程の死体が上がってるのか確認しない事には何も解決せんな。まずお市様にも一言報告してから行くかと部屋を訪れると、仕事の休憩なのか縁側で転がって眠るお市様の横で一緒に転がってる昴を踏みつけた。

「ぐえっ」
「手前、一緒になって寝るな」
「俺今戻ってきたばっかです!」
「ほう、成らば俺と調査に行くぞ。お市様の護衛はお前の兄貴に任せておけ」
「えええ」

昴を連れて部屋を出ようと一歩踏み出す前に誰かに足首を掴まれて思い切りよろける。眠そうに目をこするお市様に「起こしたか?」と問うがぼうっとしているようで。

「昴」
「はいはい、何ですか?」
 
屈む昴の頭をぽんぽんと撫でる様子に2人で首を傾げる。「市も行く」と言われたが危険があっては遅いと注意するも何だその顔。眉間に皺を寄せながら泣くな。
お市様を宥めて、安全だと判断してから連れて来る様にと他の者に任せて2人で城を出た。

いいんですか?昴の声に顔だけ向けて、危険な目に遭わせたくないと言えばニコリと微笑まれて。何だか居心地悪さを感じて無言で昴の頭を軽く叩いた。


廃村に到着し、口布をしてから部下が案内する方に向かえば。酷い異臭に顔を顰める。昴を見て少しそこに居ろと待機させて己が進んでまず廃村の状況を確認。信長公の言葉を思い出しながら、朽ちた家屋の中を見ていく
不思議と家屋の状態は良く、雨風を凌ごうと思えばできなくもないが。ひとつの家屋の中に死体があると聞き、そこに入れば先程の異臭が強くなった気が…

「あ、雹牙さん」
「昴?」

死体の前に、立ってる人物に思わず目を見開いたが。何やってるんだと頭をぐりぐりと小突けば、変な物を見つけたんですと手招かれて立ち止まる。
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